月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
私は前を真っ直ぐ向いた。

「有り難う、ときわ。私、もう一度、光清に言ってみる。光清を傷つけた事、謝ってみる。」

「うん。その調子!」

私はじーっと、ときわを見た。

そこには、光清と付き合っていたという面影は、一つもない。

「ねえ、ときわって……中学生の時、光清と付き合ってたんでしょう?」

「あれえ?知ってた?」

軽い感じで肯定するときわ。

「知ってたって言うか、知ったのはついさっきだけど。」

「あはは!まあ、そう言う事、」

呑気に私の肩を叩いたときわ。

いくら呑気なときわだって、呑気過ぎないか?

「いいの?元カノとして、私の事腹立たない?」

「全然。別れたって、あいつと絶交してるわけじゃないし。私から振ったんだから、あいつが誰と付き合おうと、関係なんじゃん?」

“うん”とは言えない自分が、さも恋愛経験がないように思えて、素直に喜べなかった。

< 52 / 354 >

この作品をシェア

pagetop