月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
分かりやすすぎ。

こっちが困るわ。

「なんでそんなに、ときわの言う事を聞くわけ?もしかして、まだときわに……」

「誤解だよ!俺、今は紅葉の事しか、考えてないって!」

思わぬ嬉しさに、むず痒くなる。

「分かれよ。紅葉と一緒にいる方法を、いつも考えてる。でも、そういう事相談できるのって、幼馴染みのときわぐらいだし。」

目の前のモテモテ男子が、可愛く見えるのは、私だけなんだろうか。

これだけモテれば、自分のモノにならない私を置いて、他の女子と付き合う事だって、できるだろうに。

「だから、友達に戻ろう。大丈夫だから。俺、紅葉以外の女の子なんて、好きにならないから。」

そう言って、手を差し伸べる光清。

でも、ふと思った。

ときわと別れる時も、そうだったんじゃないかって。


そう思えばそう思う程、私はその手を握るしかなかった。

ときわが出来た事が、私にはできないなんて、嫌だと思ったんだ。

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