月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「うん。これで仲直り。」

嬉しそうな光清が、目の前にいる。

「もう彼氏彼女じゃないのに、仲直りなの?」

「そうだよ!」

私には、分からない世界。

「だって、険悪なまま別れたら、紅葉との繋がりも消えてしまう。」

ううん。

微妙な言い方。

「あくまで険悪なムードには、なりたくないって事?」

「違うよ。友達でいれば、また紅葉と付き合えるかもしれないだろ?」

なんでそんなに、私に執着するのかな。

「私以外にも、女友達はいるじゃん?」

失敗した。

光清の表情が、固くなる。

「ときわの事?」

「いや、他にも……」

「他にはいない。ときわも友達じゃなくて、幼馴染みなだけ。」

握った手の力が、強くなった。

「信じて。俺には紅葉しかいない。紅葉が俺の方を向いてくれるまで、ずっと待ってるから。」


ークレハの事、ずっと待ってるー


こんな時まで、ジャラールさんの事、思い出してしまうなんて。

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