月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「どうした!紅葉!」

「あの本を探して!」

「あの本?」

「アラビア語の!光清が修学旅行の時に、借りて来てくれた本!」

私たちの声を聞きつけて、ときわも本棚へ来た。


「あの本って……もうここには、ないんじゃないの?」

「でも探して!今なら、今ならあるかもしれないの!」

一つ一つ、背表紙を確認していく。

アラビア語、アラビア語。

背表紙をなぞる指が、擦れ切れそうに痛い。

するとときわが、私の肩を掴んだ。

「何があったの?紅葉。」

私はゴクンと、息を飲む。

「精霊の声が聞こえたの。」

「精霊?ええっと……オアシスに住むあの?」

ときわは、私の話を必死に思い出す。

「そう!」

返事をして私はまた、本を探し始めた。


「勘は当たったんだ。」

本棚の側で、光清が立ち尽くす。

「マジで?光清の嫌な予感って、これ?」

光清は、頭を抱えて苦しそうにしている。


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