月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「紅葉の話じゃ、そのザーヒルって言う侍従は、小さい頃から幼い王様に仕えていたんだろ?何で、ネシャート王女の命を狙ったかどうかは分からないけどさ、」

その時、私の頭の中に、砂漠の旅の途中で襲われたザーヒルの家来達の言葉が甦った。

『王女が次の王に即位する事を、快く思っていない者もいるってことだ。』

それはザービルさんだと、名言していなかったけれど、やっぱり彼自身だったんだ。

「ザーヒルは、ネシャートさんが王の位に就く事が、面白くないのよ!」

私は、テーブルを強く叩いた。

「紅葉……」

普段大人しい私が、激しい行動を見せた事で、ときわが心配している。

「それで何となく、繋がったよ。ザーヒルは宮殿を追われた。侍従に取ってそれは仕事が無くなるだけじゃない。“生きる意味”さえ奪われる事だったんだ。ザーヒルは死んだも同然。このままネシャート王女が即位するのを、指をくわえて見ているよりは、反乱を起こした方がマシだと考えたんだろう。」

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