月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
なんともヘビーな事言うのね、光清。

「なに?紅葉、あんた。まだ振られてなかったの?」

ときわが意地悪そうに笑う。

「ぷぷぷ。道理で光清が、深いため息をつくわけだ。」

「ときわ!」

深いため息。

それが現実の世界の三角関係なら、まだ謝りもできるけれど、物語の主人公相手にって。

「まあ、いいんじゃない?誰だって王子様には、一歩踏み出せないし。。」

「はあ?何で?」

「容姿端麗。頭脳明晰。財力無限。」

「俺だって、その類いだね。」

また始まった二人の言い争いを余所に、私はオーナーからあの本を受け取った。

「じゃあ、二人には悪いけど。私、先に帰るね。」

「あっ、紅葉!」

「しばらく学校休んでも、心配しないで!」

私はお店を出ると、自転車を走らせて、急いで自宅に向かった。

どうせ長いこと寝るなら、自分のベッドの方がいいもんね。

お母さんには、私を起こさないように注意しておかなきゃ。

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