月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
いつもよりも早い帰宅に、お母さんが玄関へ飛び出してきた。

「ただいま。」

「ただいまって。まだ帰ってくる時間じゃないでしょうに。」

私は靴を脱ぐと、すぐにキッチンへ向かった。

「お母さん。何か食べさせて。」

「え?自分でやりなさいよ。」

なぜか冷たくあしらわれたのに、妙に納得して、冷凍庫を開けた。

冷凍のたこ焼きがある。

「ラッキー!」

早速電子レンジでチンをして、熱々のたこ焼きを頬張った。

「ねえ、お母さん。」

「なに?」

「今から私が話すこと、真剣に聞いてくれる?」

お母さんは豆鉄砲くらった鳩みたいな顔していたけれど、すぐに私の前に座った。

「で?何の話?進路のこと?」

「う~ん。それとは違うんだよね。もっと直近のこと?」

「直近!?今からのこと?」

「う、うん。」

お母さんの真剣な顔。

この表情が崩れる時が怖い。

「私、今から自分の部屋で寝るんだけど。」

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