月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「うん。」

「私が自分で起きてくるまで、決して起こさないでほしいの。」

「はあ。」

よし。

お母さんがまた何か言い出す前に、早く自分の部屋に行ってしまおう。

「それじゃあ、よろしく。」

そう言って、立ち上がった時だ。

「夕食までには、起きてくるの?」

身体がビクッと動く。

「そうではなさそうね。何か事情があるみたい。」

さすがお母さん。

観察眼が鋭い。

「お父さん達には、具合が悪いって言っておくけど、お母さんには、本当のこと話してくれる?」

一瞬、気が遠退く。

果たしてお母さんに砂漠の国の話をして、真面目なことだと受け取ってもらえるか。

「話してくれなかったら、夕食の時に、起こしちゃうわよ。」

「わわわっ!分かった!」

私は再度、自分の席に座る。

「ええ~。」

大体、こんな話をして頭おかしいって思われないかな。

「お母さん。これは、冗談だと思わないで聞いてね。」

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