月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
話が終わって、深呼吸をした。

お母さん、話付いてこれたかな。

最後にちらっとお母さんを見たら、口をあんぐり開けていた。

「お、お母さん。」

「あら、ごめんなさい!突拍子もない話だったからついっ!」

「そ、そうだよね!分かる分かる!」

ハハハッと、お母さんと二人で笑った後、しばらく無言の時間が流れた。

時計の音だけが、虚しく響く。

この空気が重い。


「そう言えば、」

先に口を開いたのは、お母さんの方だった。

「修学旅行の当日。朝、紅葉が起きてきた時、とても眠そうにしていたわね。」

「ああ……」

その砂漠の国の夢のせいで、全く寝た気がしなかった。

「イケメンの夢を見たって。あれ、満更嘘じゃなかったのね。」

お母さんは、その突拍子もない話を、なんとか飲み込もうとしていた。

「紅葉がその場所に行って、何かできるの?」

「分からない。何もできないかもしれない。」

「あら。夢の中でも紅葉は、紅葉なのね。」

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