月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「えっ?」

「夢の中だから、何か特別な能力を身に付けているわけでもないの?」

今まで何も思わなかった。

夢の中なのだから、何か私に力があってもいいのに。

「本当だ!私、特殊能力とか何もないや。夢なのに!」

そう言って、二人の間に笑いが起こった。

「でも、行かずにはいられないんでしょう?」

笑い終わったお母さんは、そう言って、私のおでこを指で付いた。

「うん。」

「行ってきなさい。必ず戻ってくるのよ。そのまま寝たきりなんて、お母さん。それだけは許さないからね。」

「……うん。」

まあ、たぶん。

目を覚ませば戻ってくるから、寝たきりにはならないと思うけど。


「じゃあ、行ってくるね。」

「はいはい。気を付けて。」

お母さんは、近所のコンビニに行く感覚で、見送ってくれた。

制服のまま、2階への階段を昇る。

ジャラールさん、ネシャートさん。

ハーキムさんに、ラナー。

みんな無事でいて!

< 82 / 354 >

この作品をシェア

pagetop