月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「でもこのままじゃあ、一歩も前に進めないじゃない!」

急に起き上がった小娘に叫ばれ、兵士達はヒソヒソ話。

そりゃそうだよね。

今まで会ったことがない人達だもん。

きっと、ジャラールさんが異国に行く為に、突然選ばれた人達なんだろう。

私の事を知らないのに、ご苦労なことだよ。

「とにかく、駱駝を用意してください。あと、隣の国への地図を。」

「本気ですか?」

「本気です。」

「夜になれば、山賊や獰猛な蠍も出る砂漠を行くんですよ?」

山賊?

サソリ?

一気に血の気が引く。

「それでもジャラール王子が駆けつければ、この国は助かるのでしょう?今は、それに懸けるしかありません。」

本当は怖い。

でも、このまま待っていても、ジャラールさん達は来ない。

それどころか、故郷のこの国が、ザーヒルの因って崩壊寸前だなんて、知らないかもしれない。

とにかく、私のできる事をしなければ。

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