月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ここですと言われても、壁には何もない。

「暗いので、私のすぐ後ろを付いてきて下さい。私の背中が少しでも小さくなれば、すぐ私をお呼び下さい。」

「は、はい。」

そう言ってナディアが壁を押すと、何もなかった壁が動く。

暗い道。

ナディアが着ている白い衣装が、唯一の手がかりだ。

その暗い壁の中に入り、タタタッとひたすら黒い世界を駆け抜ける。

「どこに繋がっているんですか?この道。」

「宮殿の森の中にある小屋です。王族の抜け穴です。」

王族の?

「そ、それってザーヒルも知っているんじゃあ‼」

「ご安心下さい。王族と言ってもジャラール王子だけです。あの方は、この森の中が遊び場所のようなものですから。」

小さい頃のジャラールさんが、森の中で遊んでいるシーンが思い浮かぶ。

宮殿からの抜け道か。

ジャラールさんが考えそうなことだ。


「もう少しで着きます。」

「うん!」

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