月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「止める?」

見上げたナディアさんの表情は、冷たかった。

ついさっき、人の命を奪ったばかりだと言うのに、全く動じてない様子。

「ここに敵の兵士がいると言う事は、おそらくジャラール王子の元へ向かった遣いは、森を抜ける場所か、砂漠のどこかで命を奪われているでしょう。」

「こ、殺されてるってこと?」

背中に冷たいモノが流れる。

「ジャラール王子に遣いを出してもはや一週間。普通ではあればもう、兵を引き連れて来られてもおかしくはない。」

「ジャラールさんの事だから、時期を伺っているのでは?」

「あり得ません。ジャラール王子に限って。」

私よりもジャラールさんを知っていると言いたいのか、結構ズバズバ言ってくるね、この人。

「きっと私達も、どこかで襲われるのは必須。そうなれば、殺すか殺されるかの世界になると思います。」

ジャラールさんのいる場所に行くって、そんなに危険なことなの?

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