【サク読みAI小説】独白アイドル〜幕が降りたあとで〜【アイドル×少年×短編】
第4話:Have wanted to be IDOL
――そして何よりもまっすぐ信じてきた
トップアイドルの座も、社会的な成功も、
全てが色褪せて見えた。
事務所の威光が消えた今、
再編されたグループたちも思うように売れてない。
以前のような輝きなんてもってのほかだ。
部屋でベッドに寝転び考える。
しょせん成功するかしないかなんて、場所次第。
才能とか努力とか、そんなもんは舞台装置の飾りにすぎない、と。
あんなにまっすぐだった自分の想いが今はウソみたいに、
すっかりねじ曲がっているのが分かった。
(俺たちは、事務所が名門のままいてくれなけりゃ、
ろくに戦えないただの駒だったにか)
アイドルは権力や名誉というマントを着せられた、金を稼ぐための人形。
それがアイドル。
そんなこと思う日が来るなんて、考えたこともなかった。
(つまらない、つまらない、つまらない…………)
13の頃から10年間、ずっと無邪気に夢を見ていた。
ステージの上で輝けると。
誰かに幸福を与えられると。
人から憧れられるような存在になれると。
(それも、ぜんぶ自分の力で)
でもそうじゃない。
人生はいつも、誰かの気まぐれや組織の意向、世間の風向きに左右され続ける。
己が己であるがゆえに手に入るものなど、本当はほとんどないのだ。
運と環境と時代が全てで、
努力も、意思も、個性も全部クソ喰らえ。
そう思い知ると、ぶっつりと糸が切れた。
そして3年後――。
26になった年、俺は事務所に退所届を叩きつけた。
再編後のグループで活動している仲間たちの姿を見ても、
もはや嫉妬の感情すら起きなくなっていた。
(だってお前らも、ただの駒だもんな)
冷めた目で見て、そう思う。
かわいそうに。
まだ、その夢の中にいなきゃいけないなんて。
そう、俺は夢から覚めた時にようやく気がついた。
青春の全てが自分を置き去りにして通り過ぎていったことに。
初めての恋。
アルバイト。
試験。
就職活動。
部活動。
サークル。
そんなの、別に気にしたことはなかった。
つまらない人生のつまらないパーツ。
少年だった自分は、きっと鼻で笑うだろう。
けれど、今になってそれらを捨ててしまったと感じるのはなぜなんだろう。
何もない、自分には。本当に。
社会の中では、なんの共通言語を持たない、まるで異星人のような存在。
誰とも話が噛み合わず、
狭い世界での立ち居振る舞いばかりが染み付いた怪物。
この人生の全てをアイドルにかけてきたけど、
俺は一体何を信じてそうしていたんだろうか。
己を?
そんな、取るに足らないものを。
(俺って夢みがちだったんだな)
合格した時と同じくらいあっさり受理された
退所届を見て、思わず自嘲するような笑みがこぼれた。
トップアイドルの座も、社会的な成功も、
全てが色褪せて見えた。
事務所の威光が消えた今、
再編されたグループたちも思うように売れてない。
以前のような輝きなんてもってのほかだ。
部屋でベッドに寝転び考える。
しょせん成功するかしないかなんて、場所次第。
才能とか努力とか、そんなもんは舞台装置の飾りにすぎない、と。
あんなにまっすぐだった自分の想いが今はウソみたいに、
すっかりねじ曲がっているのが分かった。
(俺たちは、事務所が名門のままいてくれなけりゃ、
ろくに戦えないただの駒だったにか)
アイドルは権力や名誉というマントを着せられた、金を稼ぐための人形。
それがアイドル。
そんなこと思う日が来るなんて、考えたこともなかった。
(つまらない、つまらない、つまらない…………)
13の頃から10年間、ずっと無邪気に夢を見ていた。
ステージの上で輝けると。
誰かに幸福を与えられると。
人から憧れられるような存在になれると。
(それも、ぜんぶ自分の力で)
でもそうじゃない。
人生はいつも、誰かの気まぐれや組織の意向、世間の風向きに左右され続ける。
己が己であるがゆえに手に入るものなど、本当はほとんどないのだ。
運と環境と時代が全てで、
努力も、意思も、個性も全部クソ喰らえ。
そう思い知ると、ぶっつりと糸が切れた。
そして3年後――。
26になった年、俺は事務所に退所届を叩きつけた。
再編後のグループで活動している仲間たちの姿を見ても、
もはや嫉妬の感情すら起きなくなっていた。
(だってお前らも、ただの駒だもんな)
冷めた目で見て、そう思う。
かわいそうに。
まだ、その夢の中にいなきゃいけないなんて。
そう、俺は夢から覚めた時にようやく気がついた。
青春の全てが自分を置き去りにして通り過ぎていったことに。
初めての恋。
アルバイト。
試験。
就職活動。
部活動。
サークル。
そんなの、別に気にしたことはなかった。
つまらない人生のつまらないパーツ。
少年だった自分は、きっと鼻で笑うだろう。
けれど、今になってそれらを捨ててしまったと感じるのはなぜなんだろう。
何もない、自分には。本当に。
社会の中では、なんの共通言語を持たない、まるで異星人のような存在。
誰とも話が噛み合わず、
狭い世界での立ち居振る舞いばかりが染み付いた怪物。
この人生の全てをアイドルにかけてきたけど、
俺は一体何を信じてそうしていたんだろうか。
己を?
そんな、取るに足らないものを。
(俺って夢みがちだったんだな)
合格した時と同じくらいあっさり受理された
退所届を見て、思わず自嘲するような笑みがこぼれた。