痛くしないで!~先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!~
 その可愛くてたまらない百合とようやく過ごせることになった穏やかな休日。三嶌の内心はまったくもって穏やかではない。いきなり齧り付いて怖がらせたいわけではないが、我慢にも限界がある。けれど相手はあの百合である。勝手に妄想して暴走して先走ってきた経験があるのだ。いくらでもねじ込んで誑し込めると思っていた。

「先生」

「ん?」

 表情からは全く分からないが脳内は邪心と病んだ欲望だらけの三嶌。百合に呼ばれて我に返る。

「今日はキッチンをお借りしたいです!」

「うん、うん? どうして?」

 思わず返事したものの聞き返した。突拍子もない百合の言葉に三嶌は首を傾げる。

「私、今日は先生にゆっくりしてもらいたくて!」

「……うん、うん?」

 やはりよく意味が分からない。百合が自分に何かしてやろうとしているのはなんとなく分かっていた。なぜなら手荷物が無駄に多かったからだ。

「先生は今日ソファの住人です!」

「え」

 勢いよく腕を引かれてリビングのソファに無理やり座らされる。多少困惑している三嶌を勢いで座らせられた百合は満足そうに上から見下ろすようにして三嶌の顔を覗き込んできて言うのだ。

「今日は私、先生のメイドになります!」

「……」

 百合の放つ”メイド”の言葉……百合と三嶌が同じイメージを持っていないのは明らかであった。
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