痛くしないで!~先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!~
 自分は三嶌のことが……その問いに自分が一番戸惑うもののもう目を背けることなど出来なかった。

 痛みは増すばかり、それも自分が否定するほど痛みは増す。それなら……百合は思う。

(私……先生のこと、好き……)

 その想いに気づいて自覚して、それでも胸の痛みはなくならない。
 今度は胸が切ないほどに締め付けられて痛くなる。

 それでもその痛さは今までとは違う。

 痛い――痛みは同じなはずなのに……受け止めた自分が楽になる、受け入れた自分が許されるようなそんな痛みは救われる様で。

 苦しいのにどこかホッとする。
 この痛みからもう逃げなくてもいいのだと、安堵する気持ち。

 そして思う。
 
 二次元レベルのイケメンだけれど、三嶌は三次元の生身の人間だ。百合と同じ世界に生きているはずだがとても信じられないくらいスペックの高い相手で、自分が好きになったところでどうにもならないのがわかっている。

 しかも自分は何人といる患者の一人だ。三嶌にとっては医師として向き合うだけのただの患者。歯を抜いて、穴が開いたところに金属を埋めれば終わるだけの関係だ。

(好きになった時点で失恋だ……)

 失恋――その言葉にまた胸を痛めるのだ。
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