君と紡いだ奇跡の半年
あの日、真実を打ち明けてから——
3人の絆は、むしろ前よりも強くなった。
「お前が諦めない限り、俺たちは絶対に離れねぇからな」
真は強く言い切ってくれた。
「うん……私も。最後まで一緒に歌いたい」
紗希の声も揺らがなかった。
その言葉に、どれだけ救われたか分からない。
でも、だからこそ——
俺は、次の一歩を決めた。
*
冬の始まり。
最後の大きな目標を、俺は二人に告げた。
「卒業ライブを、やりたいんだ」
少しの間、二人は黙って俺の言葉を噛みしめた後——
「やろう。全力で」
真が力強く答えた。
「湊がやりたいなら、私も全力で支える」
紗希も迷いなく頷いた。
涙が出そうになるのを堪えた。
「ありがとう……二人とも」
俺は、もう一度しっかりギターを抱えた。
この半年の集大成になる——
最高のステージにしよう。
*
卒業までの限られた時間は、まさに全力疾走だった。
授業が終わればすぐ音楽室へ。
真冬の冷たい空気も関係なく、毎日練習を重ねた。
「湊、疲れてない?」
紗希が何度も声をかけてくれる。
「平気だよ。むしろ、今が一番楽しい」
本音だった。
たとえ身体は少しずつ悲鳴を上げ始めていても——
音楽が、それを全部吹き飛ばしてくれていた。
「新曲のサビさ、もうちょい転調上げてもいいかもな」
「いいね! もっと盛り上がると思う!」
「じゃあ、合わせてみよう!」
音が重なるたびに、俺たちの完成度は上がっていった。
時間がないことが、逆に俺たちの集中力を研ぎ澄ませてくれていた。
*
卒業ライブ当日——
音楽室の横に特設ステージが組まれ、在校生や保護者たちも集まってくれていた。
まさかここまで大きなイベントになるとは思わなかった。
「いよいよだな……」
真が深呼吸する。
「緊張するけど、楽しみだね」
紗希も小さく笑った。
「最高のステージにしよう」
俺はギターを握りしめ、二人に視線を向ける。
「行こう!」
「おう!」
「うん!」
ステージに立った瞬間、客席から大きな拍手が巻き起こった——。