君と紡いだ奇跡の半年


 あの日、真実を打ち明けてから——

 3人の絆は、むしろ前よりも強くなった。

「お前が諦めない限り、俺たちは絶対に離れねぇからな」

 真は強く言い切ってくれた。

「うん……私も。最後まで一緒に歌いたい」

 紗希の声も揺らがなかった。

 その言葉に、どれだけ救われたか分からない。

 でも、だからこそ——

 俺は、次の一歩を決めた。



 冬の始まり。

 最後の大きな目標を、俺は二人に告げた。

「卒業ライブを、やりたいんだ」

 少しの間、二人は黙って俺の言葉を噛みしめた後——

「やろう。全力で」

 真が力強く答えた。

「湊がやりたいなら、私も全力で支える」

 紗希も迷いなく頷いた。

 涙が出そうになるのを堪えた。

「ありがとう……二人とも」

 俺は、もう一度しっかりギターを抱えた。

 この半年の集大成になる——

 最高のステージにしよう。



 卒業までの限られた時間は、まさに全力疾走だった。

 授業が終わればすぐ音楽室へ。

 真冬の冷たい空気も関係なく、毎日練習を重ねた。

「湊、疲れてない?」

 紗希が何度も声をかけてくれる。

「平気だよ。むしろ、今が一番楽しい」

 本音だった。

 たとえ身体は少しずつ悲鳴を上げ始めていても——

 音楽が、それを全部吹き飛ばしてくれていた。

「新曲のサビさ、もうちょい転調上げてもいいかもな」

「いいね! もっと盛り上がると思う!」

「じゃあ、合わせてみよう!」

 音が重なるたびに、俺たちの完成度は上がっていった。

 時間がないことが、逆に俺たちの集中力を研ぎ澄ませてくれていた。



 卒業ライブ当日——

 音楽室の横に特設ステージが組まれ、在校生や保護者たちも集まってくれていた。

 まさかここまで大きなイベントになるとは思わなかった。

「いよいよだな……」

 真が深呼吸する。

「緊張するけど、楽しみだね」

 紗希も小さく笑った。

「最高のステージにしよう」

 俺はギターを握りしめ、二人に視線を向ける。

「行こう!」

「おう!」

「うん!」

 ステージに立った瞬間、客席から大きな拍手が巻き起こった——。
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