過つは彼の性、許すは我の心 弐
久々にシンカンである彼等と清維、そして私の妃帥ちゃんの対する解釈の違いが露わになる。
しかも追撃する様に火ノ宮君が、
「逆に具合悪いの隠す意味ってあるの?」
と言い、言葉に詰まってしまった。
確かに具合が悪いのを隠すのってどんな意味があるの?
妃帥ちゃんは周囲に、自分が如何に高慢で我が儘で、兄とその周りを振り回す愛情に飢えた子供とわざわざ思わせている。
どんな意味があるんだ。
『やっと死んでくれたーーー!』
あの歓喜の意味は?
思い出さない様にしていた妃帥ちゃんの狂気。
彼等の言う妃帥ちゃんが真実なの?
『本当にいいの?私で?』
『こんな跡あってそんな気を起こす人間なんているのかしら』
ーーーううん違う。そんな訳ない。
心から喜んでいたのも、自嘲気味に笑っていたのも間違いじゃない。
きっと妃帥ちゃんが皆に見せている姿と、私に見せている姿は違うんだ。
敢えてそうしているんだ。
悲しいし、違う!って言葉を大にして言いたいけれど、言ってしまえば、妃帥ちゃんのしたい事の邪魔しちゃうかもしれない。
じゃあどう応えるのが正解なのか。
言葉を慎重に選んでいる時、
「お食事はお済みですか?」
カラカラと音を立ててカズミさんが入ってくる。
妃帥ちゃんの寝室からどうやら戻って来たらしい。