過つは彼の性、許すは我の心 弐


 ソドムに行った時だって、獅帥君を迎えに行ったのは深く彼等の事を知らなかったから。

 近過ぎると言うより、薄い薄氷の上にいるんだ。

 お互い氷の上から退けば落ちなくて済むのは分かっているのに、言い訳をしてずっとそこに居る。

 ナオは、唯一の話し相手を逃がしたくない為。

 私はーーー…。


「美味かったか?」

「うん…美味しかった」


 思考が途切れて「ありがとう、私お皿洗っちゃうね」と断られる前にさっとナオの食べ終わったお皿も回収した。

 後ろから「おい」と言われたが「いいのいいのー」と言って、台所で流し始める。

 水が排水溝に流れるのを眺めながら、スポンジを泡立てる。


「“ねえデザートは?”」

「…っ」

「って言いそうだよな、アイツーーー」


 こう言う時あの子は居間で足を伸ばしながら、そう言うだろうな。


「ーーー円嘉(まどか)


『円嘉!危ないって!』

『大丈夫よ綴は心配し過ぎ、あ』

『円嘉!?』

『イッテテテ…』

『ナオ!?大丈夫!?』


 木を登って落っこちたあの子を…円嘉をナオが背中で受け止めて、結果ナオが割を食っていた。

 懐かしい…。


「綴?」

「あ、うん」


 無意識に洗いまで終わって(前にもあったなこんな事)キュッと蛇口を締めた。


「そろそろ帰るだろう、途中まで送る」

「ありがとう」


 まだドキドキと心臓が嫌な方に鳴っている。

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