過つは彼の性、許すは我の心 弐
寝息が聞こえる。
一定のリズムで吐き出される吐息は、何処となく心地良く聞こえる。
本当に寝たか確認する為に、顔を見ようと身体を離そうとすれば、追従する様に彼女が引っ付いて来て、結局顔は見れなかった。
それを残念に思いながら、温もりを抱き締める。
残念?
自分の中にふと浮かんだ感情に驚いた。
彼女の寝顔を自分は見たかったのか、何故?
「…」
腕に抱えた彼女の後頭部を見つめる。
それまで他人と一夜を共にしても顔になんて興味も無かった。
そもそも他人の顔も、性格も、身体も、年齢も、性別すら自分にとっては人を識別するものにしか過ぎない。
請われれば、応える。
『オオミカ様…オオミカ様…!』
『好きなんです!だから付き合って下さい!』
『私いいんです。これだけの関係でも…』
求められるから、答えているのに。
『何故振り向いてくれないんですか!?こんなにも貴女を愛しいているのに!』
『私は全てを捧げたのに!どうして応えてくれないんですか!?』
『貴女を他に奪われるぐらいなら…!』
火に油を注ぐかの様に炎上していく。
炎に巻かれた哀れな者達は、此方までその炎で焼き尽くそうとする。
それも良いかと思い、度が過ぎる相手達に好き勝手させていた事もあったが、その前に妃帥が手酷く相手を傷めつける様になってからは流石に自重した。