過つは彼の性、許すは我の心 弐

 そこからはドダバダだった。

 妃帥ちゃんを獅帥君がお姫様抱っこして、カズミさんが圭三郎さんを呼んで来てと、見事な2人の連携で、早々に妃帥ちゃんの寝室へと辿り着く。

 ベッドへと寝かされた妃帥ちゃんは、慣れた様にカズミさんに着替えさせられ、寝る時にお揃いで着ていたネグリジェ姿になっていた。

 初めてネグリジェ姿の妃帥ちゃんを見た時は、可愛さにドキドキしていた筈なのに…。

 整えられた妃帥ちゃんは美しくも、悲しげでーーー…。

 シェイクスピアの【ハムレット】を題材にしたミレイの作品【オフィーリア】に見えてしまった。

 あの絵は川に溺れる前の絵だと聞いた事があるけれど…。

 自分の不穏な考えにゾッとしたのは、記憶に新しい。


 でも妃帥ちゃんを診察してくれた圭三郎さん曰く、


『恐らく意識を失ったのは、あの様な現場を見て気が高ぶってしまったせいでしょう。一時的なものだと思われますが…以前はそのまま発熱して、高熱が続いたので、目覚めるまでは兎に角安静にして下さい』


 との事で、少しばかりの安心感を得る事が出来た。


 圭三郎さんは、警察の人や匡獅さんと話さなければならなかったみたいで、最後に『定期的には見に来ますが、目が覚めたら必ず呼んで下さい』と言って、大慌てで寝室を出て行った。
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