過つは彼の性、許すは我の心 弐
心配して来てくれた両親には、悪かったけれど、せめて妃帥ちゃんが起きるまでは傍にいたかった。
「妃帥ちゃん、まだ起きないんだね」
「…」
妃帥ちゃんは昨晩と変わりなく物悲しげに眠っており、横には疲れ切った獅帥君が座って見守っているーーー昨日と何ら変わりない光景に落胆がって、うん?
「獅帥君は寝たの?」
ふるふると首を振る獅帥君は、妃帥ちゃんが倒れてからずっと起きているらしい。
「心配なのは分かるけど寝たら?」
「…いい」
いいって…。
「失礼致します」
少し呆気に取られて獅帥君を見ていたら、カズミさんが入って来た。
「カズミさん、おはようございます」
「おはようございます綴様」
カズミさんは相変わらず執事服という出立ちで、しっかり寝ているのか、顔色は悪くなさそうだ。
妃帥ちゃんと獅帥君の傍まで近付いたカズミさんは「お二方にはお食事を準備しました。お嬢様は私がお傍にいますので…」と言いながら、私達に視線を寄越す。
お腹そう言えば空いてきたかも…。
「ありがとうございます。何処に行けばいいですか?」
「獅帥様の寝室の隣のお部屋です」
「ああ、あの談話室件仕事部屋か。獅帥君」
私の呼びかけに獅帥君は数秒黙ってから、仕方無しにと言った風に立ち上がる。