結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない


「抱いて運んでも大丈夫ですか」

冷静なのは、彩奈より湊斗の方だった。
病院はすぐそばとはいえ、抱きかかえて運ぶなら少し揺れることになる。どれくらい安静が必要なのか父に確認している。

もうタオルも血で染まってしまった。
母が保冷剤を持ってきたので、それもあててみる。

「湊斗さん、シャツに血が」

「かまわない」

そう言うと、大事そうに海里を抱き上げた。

「彩奈!」

父は急いでと言いたいのだろう。
彩奈はバッグを持つと、湊斗とともに病院へ向かった。



***



母からの連絡が届いていたようで、すぐに救急科で診てもらえることになった。

湊斗の腕から診察用のベッドにそっと降ろされたが、そのころには泣き疲れたのか海里はまたウトウトし始めていた。
救急に呼ばれた小児科医が話しかけても、返事をする様子がない。
若い医師は意識がないようだとうろたえ始めた。

「頭を打っているかもしれません。すぐCTを……」

「海里!」

それまで冷静だった湊斗が、医師の判断に驚いたのか大きな声で名前を呼んだ。

「海里!」

もう一度呼ぶと、パッと海里が目を開けた。その眼がしっかり湊斗の姿を捉えている。

「だあれ?」

「パパだよ」

「パパ?」

半分寝ぼけているのか、海里はニコッと笑った。

「僕のパパだ~」



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