結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない



***




心配された海里のケガは、検査の結果鼻骨骨折と診断された。
手術は明日の朝一番に形成外科医の手で行われ、夕方には退院できるらしい。
子どもだから手術すればきれいに治るらしく、すぐに入院になった。

今はもう日が暮れている。病室には彩奈と海里、そして湊斗がいる。

ベッドに寝たままお気に入りのアニメを見ている海里。
その顔を飽きることなく、湊斗は見つめている。

「お疲れなんでしょう。お時間は大丈夫なんですか」

井口家に来てから、もう何時間も経っている。電話で仕事の指示をしていたが、結局ずっと湊斗は彩奈と一緒にいるのだ。

「ここにいいたいんだ。迷惑でなければ」

「迷惑だなんて、そんな」

トラブルのせいで話が中途半端なままだからか、会話は少しぎこちない。
それでも海里のために必死で動いてくれた湊斗を思うと、言葉よりもそばにいてくれる方がうれしかった。

「彩奈と海里のそばにいたい。ずっと」

彩奈の気持ちが伝わったのかのように湊斗がつぶやいた。

「湊斗さん」

だが彩奈の両親が許しても湊斗の両親、特に義母は認めてくれるとは思えない。
あれほど彩奈を嫌っていたのだ。

その不安が顔に出ていたらしく、湊斗が急に話を変えた。

「早瀬家とは、距離を取るつもりだ」
「え?」

徹と結婚した梨乃は海外生活を発信するインフルエンサーとしての生活が楽しいらしい。
梨乃が帰国しないからといって、湊斗には早瀬家に戻るつもりはない。

早瀬電子はカリフォルニアの企業と合併して、新しい道を進んでいく。

「父も納得している」

「私たちのために?」

おそらく湊斗は、彩奈と海里をしがらみから遠ざけようと考えてくれたのだ。
にじみ出ている疲労の色は、そのせいだろう。


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