結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
小高い丘の上にある守屋総合病院は、免疫療法や陽子線治療などがん治療の最前線に立っている。
ここで治療を受けたあとの患者を受け入れることで、井口病院は生き残れたのだ。
「あの、私」
車が正面に着くと同時に彩奈は受診を断ろうとした。
だが湊斗は「すぐに診てもらえるから、ついてきて」と言って、さっさと行ってしまう。
「あの」
申し訳なさそうに運転手がドアを開けてくれた。
追いかけようと思っても、足首に違和感がある彩奈は早く歩けない。
大きな自動ドアを通り抜けると、昼過ぎとあって患者さんの姿はまばらだ。
それでも彩奈の顔を知っている人がいるのではと、ついうつむいてしまった。
さすがに気がついたのか、湊斗は立ち止まって待ってくれていた。
「早瀬」
吹き抜けのロビーの正面にあるエスカレーターを白衣を着た男性が降りてきた。この人が友人なのだろう。
「東原、すまない」
「お前に頼まれたら飛んでくるさ」
東原と呼ばれたのは、小柄なメガネの男性だ。
「ただし、僕は内科だから整形の先生を紹介するよ」
「助かった」
受付で書類に記入してから、東原の案内で湊斗と彩奈は整形外科の診察室に向かった。