結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない


(大きなケガがなくてよかった)

支払いを済ませてから薬を受け取り、彩奈を送って行くつもりにしていた。

「では、これで失礼します」

ところが、彩奈はここから自分で帰ろうとする。

「いや、待て」
「はい?」

「送るよ」

後部座席に座った彩奈は、疲れたのか深いため息をついている。

「お疲れでしょう」

湊斗より先に、運転手の井上が声をかけている。

「ありがとうございます。どこにも異常はありませんでした」
「それはよかった」

坂手運転手と彩奈は微笑みあっている。お互いに安心したのだろう。

彩奈が住んでいるのは、二階建てのコーポだった。
少し古い外観だが、学生向けならこれでもいい方だろう。
この時の湊斗は、彩奈はコンビニでバイトしている大学生だと思い込んでいた。

部屋を聞くと、二階だという。
女性のひとり暮らしは、なるべく上の階がいいと聞いている。
だが、今の彩奈の足では階段を上がるのは厳しそうだ。

車から降りた彩奈は、やはりゆっくりしか歩けなさそうだ。

(仕方ないな)

そう思った湊斗は、彩奈を抱きかかえた。




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