結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
初日から大忙しだったが、田頭によると秘書室はいつもこの調子らしい。
その言葉とおり、彩奈は連日のようにハードな仕事をこなしていた。
田頭は派遣社員の彩奈に気を使ってくれている。だから毎日八時半に出社してお昼に一時間休憩、そして十七時には退勤しているが他の人はそうはいかないようだ。
アメリカの会社と合同の仕事もあるようで、時差の関係で深夜や早朝に会議をするから山本室長たちの勤務時間がまちまちのようだ。
今のところ彩奈は田頭のサポートが中心だから湊斗に会うことはない。
しかも湊斗は営業部長とアメリカに出張しているので、ますます顔をあわせることはなさそうだ。
(そういえば、ご挨拶もしていない)
勤め始めた以上、しらんぷりは失礼だと思ったが、話す機会がないのだからどうしようもない。
(いつかは会えるかな)
なにしろ皆が出払ってしまったら、彩奈ひとりで対応しなくてはいけない。
連絡事項やら資料作成やら慌ただしい日々なので、彩奈も湊斗のことはあまり気にしないことにした。
湊斗に挨拶をしていないことを除けば、仕事はとてもやりがいがあった。
黙々とパソコンに向かう仕事から、会議室の準備や片付けまであるから気が抜けない。
しかもWeb会議だけなら楽なのだが、最近は後継者がいない会社の合併案も多くいらしく、高齢の経営者は直接会社にやってくる。
そういう人たちのために紙の資料を読みやすいサイズで準備したり、手土産になるものを考えたりもする。
とにかく、彩奈はフル回転で働いていた。