結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
翌日、歓迎会があるのを口実に秘書室のメンバーはさっさと仕事を終わらせた。
社長がいないことも大きいが、重要な案件が片付いたところとあって、室長たちもホッとひと息つきたかったらしい。
田頭が予約してくれたのは、しっとりしたインテリアの和風レストランだった。
銀座の料亭で板前として働いていた主人が、洋風の創作料理も出してくれるという。
日本酒からワインまで、お酒の種類も豊富で隠れた人気店のようだ。
こじんまりした個室に案内されて、四人だけの飲み会が始まる。
「じゃあ、かんぱーい」
「ようこそ、秘書室へ」
前菜として出されたのは、刺身というよりカルパッチョ。ソースには和風のテイストが感じられる。
「青じそでしょうか」
「いい香りだね」
食欲をそそる風味だ。お椀は吸い物というよりコンソメスープに近い。焼き物、揚げ物と続くが、どれもひと工夫されている。
「田頭が選ぶにしては、趣味がいいじゃないか」
「彼女のおかげです」
どうやら田頭には結婚間近の恋人がいるらしい。
「秋には式を挙げたいんですが、この忙しさが続いたらヤバいです」
「井口さんが来てくれたから、もう大丈夫だろう」