結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない


翌日、歓迎会があるのを口実に秘書室のメンバーはさっさと仕事を終わらせた。
社長がいないことも大きいが、重要な案件が片付いたところとあって、室長たちもホッとひと息つきたかったらしい。

田頭が予約してくれたのは、しっとりしたインテリアの和風レストランだった。

銀座の料亭で板前として働いていた主人が、洋風の創作料理も出してくれるという。
日本酒からワインまで、お酒の種類も豊富で隠れた人気店のようだ。

こじんまりした個室に案内されて、四人だけの飲み会が始まる。

「じゃあ、かんぱーい」
「ようこそ、秘書室へ」

前菜として出されたのは、刺身というよりカルパッチョ。ソースには和風のテイストが感じられる。

「青じそでしょうか」
「いい香りだね」

食欲をそそる風味だ。お椀は吸い物というよりコンソメスープに近い。焼き物、揚げ物と続くが、どれもひと工夫されている。

「田頭が選ぶにしては、趣味がいいじゃないか」

「彼女のおかげです」

どうやら田頭には結婚間近の恋人がいるらしい。

「秋には式を挙げたいんですが、この忙しさが続いたらヤバいです」

「井口さんが来てくれたから、もう大丈夫だろう」


< 37 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop