結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
軽く食事をし、山本室長と少し打ち合わせをしてから湊斗は席を立った。
それと同時に、皆もお開きにするようだ。
「じゃあ、お先に」
「失礼いたします」
彩奈と目をあわせないようにして、その場から離れた。これ以上彩奈といたら、自分が何を言い出すか自身がない。
急ぎ足で店から離れたが、しばらくして後ろから声をかけられた。
「お待ちください」
彩奈の声だとすぐにわかった。
仕方なく、足を止める。
「なにか」
自分でも驚くくらい、冷たい声だった。
「あの、早瀬社長」
じっと彩奈を見下ろしたら、少しひるんだような表情になった。
「またお目にかかれるとは思っておりませんだしたが、一年間、よろしくお願いいたします」
「ああ、よろしく」
「お呼び止めして、申し訳ございませんでした」
ちょうどタクシーが来たので、手を上げた。
彩奈を残したまま、湊斗は車に乗る。
秘書らしく頭を下げて、彩奈はタクシーを見送ってくれた。
礼儀といい、言葉使いといい、秘書としては申し分なさそうだ。
ただ、その目的がわからない。
どうして湊斗の会社に、わざわざやってきたのだろうか。