結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
あれから少しずつ、湊斗は梨乃と結婚した徹の情報を集めた。
徹のよくない評判はすぐに集まったが、だが色々と調べてみても、義母が口癖のように言う「あの女」には行きつかなかった。
どうやら守屋家の親族にまで箝口令が敷かれているようで、なかなか真実は見えない。
最近やっとたどり着いたのが、ネットに情報が流れた日に守屋家が予約していた教会だった。
驚くことに、その日に徹は結婚式を挙げることになっていた。海外に行っていたのだから、梨乃との式ではなさそうだ。
式はキャンセルされていたが、肝心の結婚相手が見つからない。
しばらくして名前が出てきたのが「井口病院」だ。
ちょうどあの頃に守屋総合病院と提携し、今は分院になっている。
その井口病院のひとり娘が、彩奈だった。
湊斗はすっかり忘れていたが、弁護士から写真を見せられてあの夏の日を思い出した。
男の子を助けてくれた井口彩奈。あの清潔でけなげな印象の女性が「あの女」だとは。
実家の病院を助けるために、守屋徹に近づいたのだろうか。
金銭目的で、結婚を迫っていたのだろうか。
(もしそうなら、早瀬М&Aパートナーズにやってきたのはなぜだ)
湊斗には理由が分からなかった。
梨乃の存在を知っていたら、とてもこの会社には来られないはずだ。
(あえて、ここを選んだとしたら)
湊斗に近づいて守屋徹と同じように手玉に取ろうとしているか、梨乃のことで賠償を求めるかのどちらかだろう。