結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
ウエディングドレスを着て、ただじっと待っていたあの日。
彩奈の運命が大きく変わった日だった。
「大丈夫か?」
湊斗の声が遠くから聞こえたような気がした。
ハッとわれに返ると、心配そうに彩奈の顔をのぞき込んでいた。
「はい」
「疲れたか? 顔色が悪い」
「大丈夫です。想像以上にすごくて、驚いてしまって」
なんとかごまかしたが、湊斗は心配そうな表情だ。
「ホテルで少し休もう」
またふたりでタクシーに乗って、昨日から泊まっているホテルに向かった。
彩奈は自分の弱さを呪った。まだ心の奥には傷ついた自分がいたのだ。
(もう忘れたと思っていたのに)
こんな自分を湊斗に見られたことのほうが恥ずかしい。
湊斗の前では、秘書として完璧な自分でいたかった。
ホテルに着いてからも、湊斗からの心配そうな視線を感じる。
「食事はどうする?」
「私はチョッと休ませていただきます。ホテルのレストランかどこか、予約いたしましょうか?」
「いや、俺のことは気にしなくていい。本当に大丈夫か?」
「はい。ご心配なく」
無理やり笑ってみせたが、湊斗は信じていないようだ。
だが深くは追及してこなかったからロビーで別れて、彩奈は先に自室にっ戻った。
さすがに社長と同じランクの部屋には泊まれないから、彩奈は湊斗よりも少し下の階になる。