結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
部屋に入ると、彩奈はベッドに倒れこんだ。
体中の力が抜けて、なんだか泣きたい気分だった。
(情けないところを見られなくてよかった)
両親以外であの日のことを知っているのは、藤沢誠子くらいだ。
人に話せないことを抱えているのは、辛いものだ。吐き出す相手がいないと、背負った荷物はどんどん重くなっていく。
誰からも同情や、共感すらもしてもらえない。
そのまま少しウトウトしてしまったようで、気がつくと辺りは薄暗い。とっくに陽が落ちたようだ。
スマートフォンの着信音で、彩奈の意識ははっきり目覚めた。
電話は湊斗からだった。
「はい、井口です」
「早瀬だ。気分はどうだ」
「もう大丈夫です。スッキリしました」
「そうか。なにか食べられそうか?」
「はい。社長はなにか召し上がりました?」
「いや、仕事をしていたからこれからだ。ルームサービスでも食べながら、今後の予定を立てたいんだが」
「わかりました。すぐに伺います」
ササッと身だしなみを整えて、ノートパソコンを手にすると彩奈は湊斗の部屋に向かった。