結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
「どれにする」
そう言って、湊斗はメニューを広げて見せてくれた。
外資系のホテルだけあって、インルームディナーとしても豊富なメニューだ。
ホテルのある和洋中のレストランで提供されている料理を、客室でゆったり楽しめる。
仕事でなければ、最高の贅沢だ。
「君のおかげで仕事がはかどったからお礼の気持ちだ。好きなものを頼めばいい」
さすがにフルコースは量が多すぎるから、卓袱料理ををシェアすることにした。
もちろん食事よりは、帰京してからの報告内容を整理することが優先だ。
仕事がすべて片付いて、おなかも満足した時には午後十時を過ぎていた。
「もうこんな時間か」
「お疲れさまでした。お料理、とってもおいしかったです」
「それはよかった」
「それでは、失礼いたします」
彩奈が立ち上がると、広々とした部屋からは長崎の夜景がよく見える。
そういえば、長崎は日本三大夜景のひとつではなかったかと今更のように気がついた。
「わあ、きれい」
子どものように、思わず声に出てしまった。
「君の部屋からは、見えないのか」
湊斗は立ち上がると、窓際に歩いていく。
それから、こちらに来てゆっくり見なさいとように彩奈の方を振り向いた。