結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
「年末年始の予定は?」
「特にありません」
「まだあそこにひとりで住んでいるのか?」
以前に病院から送ってもらったときと同じ場所かと聞かれて「はい」と答える。
アルバイト時代と比べれば格段にいいお給料をもらっているが、彩奈は引っ越しをしていない。
早瀬М&Aパートナーズの正社員なら高額な家賃補助があるだろうが、派遣社員はそういうわけにはいかない。
それに彩奈は高い住宅ローンや家賃を払うより、いつ何があってもいいように少額でも貯金や投資に回していた。
「家まで送るよ」
「え?」
年末だから車は混んでいるし、街にもお正月の買い物をする人があふれている。
そんな中をわざわざ送ってくれるなんて、どう返事すればいいのだろう。
「社長、あの」
彩奈の言葉をさえぎるように、ハンドルを握って前を向いたまま湊斗は話し始める。
「俺は明日から軽井沢の別荘で過ごすつもりなんだ」
「すてきですね」
「君も来ないか?」
別荘に誘われてても、なぜなのか理由がわからないくて彩奈はすぐに返事ができない。
「ご家族でお過ごしなのでしょうか?」