結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない


冬の軽井沢は朝晩はかなり冷え込むと聞いていたが、今年は例年に比べて比較的暖かいらしい。
まだ積雪はないが、キンと空気は冷え込んでいる。

イルミネーションが美しく飾られた辺りを通り抜け、少し奥まったところに早瀬家の別荘はあった。
そこは早瀬家のものというより、湊斗がくつろぐための隠れ家のような場所らしい。

「昨日のうちに、井上が色々と準備してくれているようだ」

運転手の井上はこの近くの出身らしく、一足先に帰省するタイミングで買い物などを頼んでいたそうだ。
おかげで冷蔵庫に食材はたくさん入っているし、暖房器具も準備万端だ。

ログハウス風でコンパクトな設計の別荘だが、すべて床暖房なので室内はとても心地よかった。

ふたりで周囲を散歩したり夕食の準備をしたりしていると、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

食事のあとは並んでソファーに座り、サブスクリプションでお互いの好みの映画を探した。
ワインを飲みながらゆっくり鑑賞していたら、深夜になってしまった。

「そろそろ休むか」

「は、はい」

少し声がかすれてしまった。

期待なのか、不安なのか、自分の気持ちが揺れ動いている。

「彩奈、無理しなくていい」

「湊斗さん」

「俺は君が好きだ。だからといって、無理やり抱くつもりはない」

そう言って、彩奈の肩にそっと触れてくる。

「私も、あなたが好きです」

彩奈が気持ちを伝えたら、やっとキスが落ちてきた。
頬に、まぶたに、湊斗の唇が柔らかく触れていく。

甘い夜が始まった。



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