結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
(夢を見てるんだ)
これは長い夢だ。
彩奈は目を閉じたまま、ゆりかごの中で眠り続けていた。
結婚する覚悟を決めていた人に裏切られてから、恋をするのがおっくうになっていた。
きっと誰かと親密になることもなければ、ましてやベッドを共にすることなど起こりえない。
そんな思い込みを打ち破ってくれたのが、湊斗だった。
一緒に仕事ができるだけでうれしかったのに、その人から「好きだと」言われてキスされる。
その幸せな気もちに流されて、彩奈はすべてを許していた。
少し意識がはっきりしてきたので目を薄く開けると、湊斗が隣にいて彩奈の体を抱きしめながら眠っている。
それに安心して、まだ眠りに落ちる。
のどが渇いて目覚めると、ベッドのサイドテーブルにミネラルウオーターとフルーツが置いてある。
湊斗とシャワーを浴びながら、また愛しあう。
疲れ果てた彩奈は、気を失うように眠りに落ちた。その繰り返し。
彩奈は今は夜なのか、朝なのか、もう時間すらわからない。
けだるい体、少し動くとあちこちがかすかに痛む。
それは辛い痛みではなく、甘いしびれを伴うものだ。
彩奈の体のあちこちに、湊斗に愛された印が残されていた。