結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
また、目が覚めた。
ここは別荘の二階にある寝室だ。ベッドに横たわったまま、光のあたりくらいから午前中かなと彩奈は見当をつけた。
もう新年二日目になっているはずだ。
隣に湊斗がいないから、シャワーか一階のキッチンかもしれない。
ゆっくり体を起こして、何か身に着けようと探したらベッドサイドに湊斗のセーターがあった。
下着とモスグリーンのセーター姿は、少し恥ずかしかったが裸でいるよりましだろう。
彩奈が寝室から出ようとドアを開けたら、甲高い女性の声が聞こえてきた。
「なんてこと!」
一階の広いリビングは吹き抜けになっているから、声が響くのだ。
聞かない方がいいと思いながら、彩奈はそっとドアを閉めて廊下に出た。
誰かが湊斗を責めているようで、気になってしまったのだ。
下からは見えない位置にそっと立つ。
湊斗はこちらに背を向けていて、その横に五十代くらいの女性がいた。
襟元にファーがついたコートを着たままだから、別荘に着いたばかりなのだろう。
「落ち着いてください」
「どうしてこんなことができるの? あなたと梨乃は半分血がつながっているというのに!」
冷静な湊斗とは反対に、よく見たら女性の髪は乱れているし涙をこぼしている。
「全部、井上に聞きました。あなたがずっと井口彩奈と関わっているって」
「なにか誤解があるようです」
「なにが誤解よ! 梨乃が家を出てまで結婚したのは、全部井口彩奈のせいでしょ!」