結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
「彼女はおそらく家のために、結婚を決めたんだと思うよ」
東原に言われるまでもなく、湊斗もそう考えている。
おそらく彩奈は何も知らなかったのだ。守屋徹の評判も、梨乃の存在もすべて。
「先日、井口院長が倒れた」
幸いにも倒れたのが病院だったから、すぐに処置することができた。
後遺症は軽くて、下半身にマヒが少し残った程度だ。
「さすがに医師としては働けないから、引退される予定なんだ。それで、院長代理を任された」
「東原が井口病院の次期院長というわけか」
今は自宅で療養している井口院長の訪問診療も請け負っているという。
「これを見てくれ」
東原がスマートフォンを取り出して、湊斗に向けてきた。
そこには小さな男の子が映っている。
「俺の子供時代の写真なんて、お前に送ったことがあったかな」
「やっぱり」
そう言って、東原はスマホを閉じた。
「誰が見てもそっくりだ」
「どういう意味だ?」