結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
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井口病院から歩いてすぐの場所に建つ井口家は、古びていたが大きな屋敷だ。
ただ門のあたりから玄関にかけて、最近手を入れた形跡がある。
おそらくスロープにしたり、段差をなくすといった工事をしてすべてバリアフリーにしたのだろう。
湊斗は門の前に立った。やっと父にも合併を承諾させて、彩奈に会うためにやって来たのだ。
チャイムを鳴らそうとしていたら、離れたところから子どもの笑い声が聞こえた。
振り向くと、車イスの老人のひざに男の子が乗ってはしゃいでいる。
老人も車いすを押す女性も表情は明るく、楽しそうだ。
(彩奈だ)
肩まであった髪はすっかり短くなっていた。
そのぶん頬のあたりがスッキリ見えて、全体にほっそりした印象だ。
湊斗が門の前に立っているのがわかったのか、男の子の甲高い声がした。
「お客さんだよ~」
その声で、彩奈の表情がこわばったのがはっきりわかった。