結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
湊斗の顔を見た老人は、目を見開いてた。
誰が見ても男の子と湊斗はそっくりだから、ただ事ではないと感じたのだろう。
門の前で彩奈が車イスをピタリと止めた。
男の子は興味津々な様子で湊斗の顔をじっと見ているが、彩奈は視線を合わせようともしない。
「どちらさま、ですか」
老人はとてもゆっくりとした話し方だが、言葉は明瞭だ。
「突然、お訪ねして申し訳ございません。早瀬と申します」
湊が自己紹介をしながら名刺を差し出すと、老人の膝の上に座っていた男の子が受け取って「はい、おじいちゃん」と手渡す。
それだけでもほほえましい光景なのに、わが子だと思うと湊斗の胸は締めつけられるように痛んだ。
名刺を読んだ老人は「どうぞ、お入り、ください」とだけ言って、彩奈を促した。
黙ったまま彩奈は門を開け、中に入って行く。
湊斗もそのあとに続いた。