結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない


ふたりの間には多くのことがありすぎたから、彩奈も何から話せばいいか混乱してきた。

「調べても調べても、真実が分からなかった。やっとお父さんが話してくださった」

湊斗が言いたいのは、彩奈と守屋徹とのことだろう。
結婚式の日までに何があったのか、ずっと湊斗は調べていたようだ。
井口家と守屋家の関係は内密に進めていた事だから、当事者しか知らない。
父が湊斗に話したなら、もう彩奈が口を閉ざす必要はなさそうだ。

「あのふたりが勝手にやったことで、彩奈はなにも悪くない。義母が失礼なことばかり言ってすまなかった」

湊斗に謝られても、彩奈は結婚式の日からずっと自分を責めてきた。

はっきり結婚を断っていれば、徹と梨乃はあんな形はとらなかったはずだ。
恋人同士の邪魔をしてしまったと、どれだけ悔やんだことか。

「俺が梨乃の異母兄だと知って、驚いただろう」

彩奈は無言でうなずいた。別荘で話を聞くまで、何も知らなかったのは事実だ。

「俺が君を恋人にしたかったのは、義母が言うようなことではない。君を愛しているからだ」

湊斗は彩奈をじっと見てくれている。その迷いのない強い視線に、彩奈は吸い込まれていった。

「なんて言って君に謝ればいいのか、言葉が浮かばない」


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