隠れ美少女とクール系男子

「あ、君が例の転入生だね？　不可能と言われた激ムズの転入試験を満点で合格したあの」



「は、はぁ」

「ちょっと待ってね。　森川(もりかわ)さーん、猫塚さんが来ましたよ」

　少し遠くで「はーい」と聞こえた。声からして男性かな？

　というか……あの転入試験、そんなに難しかったか？

　そんな事を考えているとメガネを掛けた優しそうな森川先生らしき人が近づいてきた。



「君が猫塚さんだね？」

「は、はい！」

「今日から担任になる森川だ。よろしくな」



　そう言って握手をしようと手を出す森川先生。突然のことで固まってしまう私。二人の間でシーンとした空気が流れた。

　すると、森川先生ははっとしたような顔になり手を引っ込める。



「ご、こめんな。人間不信と聞いてたのに握手を求めて」

「い、いえ。お気になさらずに。私が人間不信になってしまったのが悪いので」



　目を見て謝りたいのに顔を見れないこんな自分が嫌いだ。

　人間不信のことはお父さんが話してくれたのかな。