隠れ美少女とクール系男子
 私は相手の顔を見ずにそう答えた。周囲は私たちが会話しているのをぼうぜんとしながら見ている。なぜ?



「あの翔が女子と会話しているぞ……!」

「ずるいわあの地味子……」

「しかも、名前を呼んだわ……!」



 なんか知らないけど女子軍に睨まれてる。特に、授業が終わると席を変われと言ってくる三人組だ。

 それに、わたしと会話したのが珍しい素振りだった。やっぱりわたしと同じ人間嫌いなのか?

 するとさっき私を睨んで来た女子軍が翔の方へ行く。



「あの翔様! こんな女より私と楽しくお話しましょ……」

「女は話しかけるな」



 おぉ、すっごい睨み。私のときは大丈夫だったのに。

 ……そういえば旧校舎であった時もそうだったな。

 今度は男子軍が翔の方へ行く。



「おい、翔。自分から女子に話しかけるなんて珍しいな」

「どうした? なんか変なもんでも食ったか?」

「なんも。てかお前らあっちいけ。俺は愛笑と話してたんだよ」
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