隠れ美少女とクール系男子
「う~ん。そうじゃなくて、私の場合感情がなくなったのかな? ずっといじめられてたけど家族に心配をかけたくなくて、弱みを見せたくなくて感情を無理やり抑え込んでたら泣いたり笑う方法を忘れちゃった。ちょっといろいろあって人間不信というか、人間嫌いなんだ」
「じゃあ、なんでこの学校に転入をしたの……? わざわざ人がたくさんいるようなところに来て」
彼女が不思議な顔をする。まぁ、当然だろう。学校はたくさんの人がいるからだ。
だが、わたしはいざというときに兄ちゃんに助けを求められる。それに……。
「人間不信を克服したいと思ったから。ずっとこのままだったら、笑うことも泣くこともできない。それに、私の名前は『愛らしく笑ってほしい』というのが由来らしいの。その夢を見たら、克服しなきゃって思った」
わたしは、そう言いながら本来の目的だった筆箱を机の中から出し、カバンに入れる。
柄にもなく自分のことを他人に話してしまった。過去の自分と重ねたのだろうか。