どうも、魔導師様に拾われた幼女です!

メリーお嬢様 <side リヴェル>

「リヴェルトナス様…是非にお話を聞きたいですね」
使用人を代表して、ロドリゴが訊いてくる。
「まずお名前はなんとおっしゃるのです?」
「アメリアですよ。可愛い名前でしょう?亡き母がつけたのでしょうか。今の子爵家の人間はこんな名前つけませんでしょう」
「リヴェルトナス様、なんでそんなに饒舌なのですか…」
メイド長のマルグが疲れたように言い、侍女長のカタリーナが苦笑した。
「お嬢様のこと、全て教えてください」
「おや、アンナ…随分と我が儘ですね。ですがいいでしょう、この機会に話しておくべきです」
ここでメリーのことを知れば、きっとすぐにメリーを構い倒すだろう。
愛に飢える少女には、それくらいがいい。
「彼女は、とても建物とは呼べないボロ屋に住んでいました。毎日、食事は雑草などしかないのでしょう。幸い、家族に暴力は振るわれていないようですが。義姉は魔術の才がなく、この国の貴族では珍しく学園不合格。メリーでしたら余裕で合格…いえ、飛び級で1年合格できるでしょう。…失礼、話を戻します」
メリーのことになると、彼女の凄いところや、まわりの悪い人たちのことを話してしまう。
「おや、ロドリゴ、顔が真っ青ですね」
「お嬢様…なぜ、あのような幼い方がそんな仕打ちを受けねばならぬのですか…」
メリーの痩せ細った枝のような体を思い出してるのか、ロドリゴの顔が悔しそうに歪んだ。
使用人の家に生まれ、息子のセバスにも指導をしてきたロドリゴ。
普段は一切表情を変えず、穏やかに笑むのみの男が…。
主人(わたし)の前で、こんなに感情豊かに話すとは。
まだまだ私も、屋敷のこと全てを分かっていないのかもしれない。
「ロドリゴ」
「っは、」
「メリーを全使用人で愛しなさい。それぞれが出来る、愛の伝え方を考えなさい。エミール、メリーに毎朝、最高の状態の花を一輪、届けなさい」
「かしこまりました、リヴェルトナス様」
忠実な庭師が笑みながら頷き、褒めるように自分のエプロンを撫でる。
「アンナ、ソフィア」
「「は、リヴェルトナス様」」
「話が終わったら、メリーを湯浴みしてあげてください。きっと湯浴みはここ最近は出来ていないでしょう。ドレスはこちらで用意します。メリーの部屋に置いておきますね」
「「かしこまりました」」
姉妹のように育ってきただけあって、2人は息ぴったりの良コンビだ。
2人の作業は、この2人に任せるに限る。
「ピエール、メリーの食事の準備をしてください。普通の食事食べるのもは難しいでしょうから、スープやフルーツなどにしてあげてください」
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