どうも、魔導師様に拾われた幼女です！

弟子であるルカを引き連れ、ピエールが頷く。
「お嬢様のため、全力を尽くさせていただきます。ちなみに、お嬢様はおいくつでしょう？」
「…なぜ？」
「怒らないでくださいよ、リヴェルトナス様からお嬢様を取ったりなんかしないに決まってるじゃないですか。年齢的な、必要な栄養バランスを考えたいので」
少しだけ機嫌が悪くなった私に、ピエールが慌てて説明を付け足す。
「古い情報で正しいか分かりませんが。おそらく、５歳です」
「…５歳？それは、間違いではないでしょうか。５歳であんなに小さくて細いなど、…あっても3歳では…」
「５歳なのですよ」
「あっはいわかりました…」
諦めたように一礼し、いち早く部屋を出て食事の準備をしにいったピエールとルカ。
頼もしい…メリーにとって頼もしい使用人でいてくれるだろうか、彼らは。
「アンナ、湯浴みの準備をしに行きましょう。リヴェルトナス様、失礼します」
ソフィアが一礼し、続いてアンナを一礼して部屋を出ていく。
残った執事長(ロドリゴ)、執事(セバス)、侍女長(カタリーナ)、侍女(イザベル)、メイド長(マルグ)、庭師(エミール)が顔を見合わせたあと、指示を仰ぐようにこちらを見る。
「話はここまでです。イザベル、メリーをアンナ達のところに連れていってください。エミールとセバスはいつも通りの業務に。ロドリゴとカタリーナ、マルグはついてきてください。メリーの部屋を簡単に整えてドレスを用意します」
「ではドレスは私が。既製品になりますが、よろしいですね？ドレスはまた、たくさんつくりましょう」
マルグが微笑み、すぐに部下に指示を飛ばす。
「リヴェルトナス様、行かれる前に…。お嬢様に、これからのことをお話しなさっては？」
ロドリゴが、魔道具を解いた私にそう言いながら、奥の部屋に繋がる扉を開ける。
「リヴェル様！もういいの？」
「えぇ、いいですよ。メリー、これからあなたは、湯浴みと食事をします。アンナとソフィアが今準備しているので、イザベルに連れていってもらってください」
「わかった！イザベルさん、よろしくね」
「お嬢様、私共に『さん』など必要ございません」
「…ほんと？じゃあ、イザベル！」
「はい、お嬢様。行きましょうか」
笑顔で会話をする２人は、仲の良い姉妹みたいに見える。
いっそ、イザベルをメリーの姉にするか。
マイナスなイメージの『姉』という存在を塗り替えることができたら。
いや、使用人がお嬢様の姉になれるわけがない。