王子と姫の溺れる愛
矢澤に芽梨の送り迎えをするついでに、居酒屋前まで送ってもらった琉王。

矢澤が後部のドアを開け、待っている。
「はぁ…
メグ、やっぱり僕も実家に行くよ。
僕も姫坂家の食事に参加させて?
絶対、そっちの方が楽しいと思うんだ!
メグの父上や母上とゆっくり話したいし。
お兄さんとも仲良くするから」

駄々をこねるように、芽梨から離れようとしない琉王。

「ダメですよ。
皆さん、待ってるので行かなきゃ!」

「………」
芽梨に言われ、しかたなく車を降りる。

「琉王さん、いってらっしゃいませ!」

「うん。
あ!ねぇ!
顔だけ出して、すぐ戻って来るからここで待っててよ!」

「………琉王さん!」

「あ…
うん、往生際が悪いね…
じゃあ…行くよ、大人しく…」

小さく手を振る琉王。
矢澤がドアを閉めた。

そして、琉王に丁寧に頭を下げ「いってらっしゃいませ」と言った。

「………」

「琉王様?」

「ううん」
琉王は心なしか肩を落としたように、居酒屋に入っていった。

矢澤はそれを見送り、運転席に乗り込んだ。


「――――お待たせ」

「おせーよ!!!」
「悪い琉王。琥珀がうるさくて、先に飲んでる」

個室に入ると、第一声に琥珀が声を荒らげてきて、恵也が困ったように言ってきた。

「うん、いいよ。
メグとなかなか離れられなくて、遅くなっちゃったし」

「だからぁ!その気持ちは、わからなくもねぇ……
……って!あーもー、めんどくせぇな!!
つか!芽梨は?」

「メグがね。
“せっかくだから、男同士で楽しめ”って言って、気を遣ってくれたんだ」

「フッ…芽梨らしいな!(笑)」
琥珀がクスッと笑って、ビールを一口飲んだ。

「そっか…
会ってみたかったな、姫坂財閥の姫」
「俺達、楽しみにしてたのに…」
「残念っす!」
恵也、俊太(しゅんた)緑郎(ろくろう)が順に言った。

「僕もね。
会わせたかったんだよ?
恵也達なら良いかなって。
それに、そうすれば“メグと離れずに済む”」

シュン…と落ちこんだような琉王に、恵也が「ほら!乾杯しようぜ!琉王、とりあえずビールでい?」と微笑んだ。

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