王子と姫の溺れる愛
「――――名刺入れとかどうですか?」

恵也に相談すると、そう言われた芽梨。
恵也とともに、再びメンズコーナーへ向かう。

そして、名刺入れとキーケースのセットを購入した。

「ありがとうございました!
おかげで、素敵なお買い物が出来ました!」

「いえ、良かったですね!」

「はい!
あ、何かお礼を……」

「あ、そんなこと気にしないでください!
俺的には、こうやって芽梨さんと買い物出来ただけで幸せだったんで!」

「え?」

「あ…//////い、いえ!
今の言葉は、忘れてください!」

「恵也さん?」

「あ…えーと…
は、早く帰らないと、琉王が心配しますよ?」

「あ、はい!
また後日、お礼をさせてください!
えーと…連絡先をお聞きしてもよろしいですか?」

「え?良いんですか?
連絡先交換しても」

「え?」

「あ…えーと…」
(この前、言われてたじゃん。
“琉王以外の男との会話は控えろ”って)

「でも、お礼ですから」

「じゃあ…」
(まっ、いいか!
俺的には、光栄なことだし!)

そして連絡先を交換し……芽梨は丁寧に頭を下げて礼を言う。

「お嬢様、急ぎましょう!
お時間が迫っています!」

「あ、でも!
恵也さんをお送りしないと」

「しかし!!」

「あ、俺は大丈夫ですよ!
それよりも、早く帰ってあげないと!」

「恵也さん、申し訳ありません。
では、ここで失礼させていただきます。
お嬢様。
お車を回しますので、ここでお待ちください!」

「うん、わかった!」

恵也に頭を下げ、芽梨に言い聞かせてから地下駐車場に向かった矢澤。
それを見送り、芽梨は恵也に「恵也さん、後は大丈夫ですので」と微笑んだ。

「いや、矢澤さんが来るまで一緒にいますよ!」

「でも…そんなの申し訳ないです…」

「………」

眉をひそめる芽梨。
彼女は気づかないのだろうか。
今も周りの人間に、注目されていることを。

琥珀や椿姫、琉王もそうだが、芽梨だって同じ。
姫坂財閥の令嬢と言えば、知らない者はいない。

おそらく一人になった途端、声をかけられるだろう。

はたしてそれをちゃんと、かわせるのだろうか。

「恵也さん?」

「え?あ…ううん!
もう少し、ここにいさせて?」
そう言うと、芽梨は照れたように笑った。


< 29 / 41 >

この作品をシェア

pagetop