黒兎の相棒は総長でも止められない
祈るだけの夜
窓の外は真っ暗だった。
いつもの夜とは全然違う――静かすぎる夜。
何も聞こえないはずなのに
胸の奥だけがドクドクとうるさく脈打っていた。
(……まだ連絡ない…)
(凪くん……お兄ちゃん……)
スマホを握りしめた手が汗ばんで、力が入るたびに指先が震えていた。
さっきから何度もLINEを開いては閉じて、既読の付かない画面を見つめていた。
【大丈夫?】
【無事?】
【返事して…】
短いメッセージを送るたびに既読はつかない。
その画面がずっと変わらないまま、ただ時間だけが過ぎていく。
時計の針が進む音だけがやけに大きく響いた。
「……なんで…」
小さく呟いた声が震えて、喉の奥が詰まる。
(早く…早く終わって…)
(無事でいてよ…お願いだから…)
足元が冷えてるのに、胸の奥は逆に熱くて苦しかった。
頭の中でぐるぐる回るのは、さっき凪くんが送ってきた最後のメッセージ。
【今夜動く。もう何も起こらせねぇように片付ける】
(こんなの…何も知らない方がよかったのかな…)
けど、知らなかったらもっと不安だった。
知らないまま、あの二人がこんな危ない夜を過ごしてるなんて――
「……怖いよ…」
ポロリと涙がこぼれ落ちる。
止めようとしても止まらなかった。
震える指で、またスマホの画面を開いた。
既読は――まだ、つかない。
ドクン、ドクン――
(お願い……)
祈るしかできない自分が悔しくて、でも、どうすることもできなくて。
私はスマホを胸に強く抱きしめたまま
ただ、息を潜めて夜の闇に沈んでいた。
いつもの夜とは全然違う――静かすぎる夜。
何も聞こえないはずなのに
胸の奥だけがドクドクとうるさく脈打っていた。
(……まだ連絡ない…)
(凪くん……お兄ちゃん……)
スマホを握りしめた手が汗ばんで、力が入るたびに指先が震えていた。
さっきから何度もLINEを開いては閉じて、既読の付かない画面を見つめていた。
【大丈夫?】
【無事?】
【返事して…】
短いメッセージを送るたびに既読はつかない。
その画面がずっと変わらないまま、ただ時間だけが過ぎていく。
時計の針が進む音だけがやけに大きく響いた。
「……なんで…」
小さく呟いた声が震えて、喉の奥が詰まる。
(早く…早く終わって…)
(無事でいてよ…お願いだから…)
足元が冷えてるのに、胸の奥は逆に熱くて苦しかった。
頭の中でぐるぐる回るのは、さっき凪くんが送ってきた最後のメッセージ。
【今夜動く。もう何も起こらせねぇように片付ける】
(こんなの…何も知らない方がよかったのかな…)
けど、知らなかったらもっと不安だった。
知らないまま、あの二人がこんな危ない夜を過ごしてるなんて――
「……怖いよ…」
ポロリと涙がこぼれ落ちる。
止めようとしても止まらなかった。
震える指で、またスマホの画面を開いた。
既読は――まだ、つかない。
ドクン、ドクン――
(お願い……)
祈るしかできない自分が悔しくて、でも、どうすることもできなくて。
私はスマホを胸に強く抱きしめたまま
ただ、息を潜めて夜の闇に沈んでいた。