バーテンダーズ - Dance with Cocktails -
「いらっしゃいませ。
あ、松本さん」
奥から若い細身で長身の男性がひとり出てきて、松本さんを見てニコッとほほ笑む。
(きれいなひとだ!)

短い黒髪にゆるいウェーブがかかっている。透き通るような肌の持ち主で、黒い目がぱっちりとしてまつ毛が濃く長く、鼻が高く、
紅い唇がぽってりとした面長の美青年だった。右目と左口元の小さなホクロが印象的だ。

真っ白なシルクの長そでシャツを着ている。光の加減によってピンクに見えるから、それなりの値段がするものだろう。
ボトムは黒の細身のスラックスだ。
首から、真っ赤なガーネットの丸いトップのついた、銀の鎖のペンダントを下げていた。

「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
イケメンは声もイケメンなのはどうしてだろう。天は二物を与えすぎると思う。
鼻にかかったやわらかなテノールの声でそう言われると、何だかクラクラしてくる。
ところで、
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